コラム

2026.11.02

精巣がんのしこりの大きさは?初期症状や特徴、良性の病気との違いを解説

精巣(睾丸)を触ったときにしこりのようなものに気づき、「これは精巣がんではないか」「しこりがどのくらいの大きさなら危ないのか」と不安になる方は少なくありません。

精巣がん(精巣癌)は、ほかの多くのがんと比べて、若い世代にも発症しやすいことが特徴です。

この記事では、精巣がんのしこりの大きさや硬さの特徴、初期症状、がん以外の病気との違いについて解説します。精巣の変化に気づくために確認しておきたいことや受診の目安についても紹介しますので、精巣のしこりが気になる方は参考にしてください。

精巣がんとはどのような病気か

精巣の役割と精巣がんの特徴

精巣は、精子をつくる役割と、男性ホルモン(テストステロン)を産生する役割を担う臓器です。

精巣がんは、この精巣に発生する悪性腫瘍で、日本では、年間10万人あたり1〜2人程度が発症するとされている比較的まれながんです。

男性のがん全体のなかでは患者数の少ない病気ですが、若年〜壮年期に発症が多くみられます。前立腺がんや膀胱がんなど、泌尿器のがんの多くは高齢の方に多くみられるのに対し、精巣がんは若い世代でも発症する点が大きな特徴です。

精巣内部の腫瘍は詳しい検査が必要

精巣の内部に腫瘍が見つかった場合は、悪性腫瘍の可能性を考えて詳しい検査が必要になります。

一方、陰嚢内に触れるしこりには、精巣上体のう胞や陰嚢水腫など、がん以外の病気によるものもあります。

しこりの位置や硬さなどを自分で正確に見分けることは難しいため、精巣や陰嚢に気になる変化がある場合は、自己判断せず泌尿器科を受診することが大切です。

精巣がんの種類

精巣がんの多くは、精子のもとになる細胞から発生する「胚細胞腫瘍」です。

胚細胞腫瘍は、主に「セミノーマ」と呼ばれるタイプと、それ以外の「非セミノーマ」の2種類に分類されます。

腫瘍の種類によって、進行の仕方やその後の治療方針が異なります。

精巣がんのしこりの大きさと特徴

しこりの大きさに決まった基準はない

精巣がんのしこりの大きさはさまざまで、小さい段階で気づくこともあれば、精巣全体が大きくなってから気づくこともあります。

「小さいから大丈夫」「大きくないから様子を見てもよい」とは判断できず、しこりの大きさだけで良性か悪性かを見分けることはできません。

触った感覚だけで判断することも難しいため、大きさにかかわらず、精巣の中にしこりや硬さの変化を感じた場合は、早めに泌尿器科を受診しましょう。

硬く、痛みを伴わないしこりが多い

精巣がんでは、次のような特徴がみられることがあります。

  • ・硬いしこりとして触れる
  • ・痛みを伴わないことが多い
  • ・精巣そのものが硬くなったり、大きくなったりする
  • ・徐々に大きくなることがある

痛みがないため、受診が遅れてしまうこともあります。

「痛くないから心配ない」とは限らないため、以前とは違う硬さやしこりに気づいた場合は注意が必要です。

片側の精巣が大きくなる・重く感じる

しこりとしてはっきり触れなくても、片側の精巣が以前より大きくなった、硬くなったと感じることで気づく場合があります。

左右の精巣にはもともと多少の大きさや位置の違いがありますが、以前と比べて大きさや硬さに変化がある場合は注意が必要です。

精巣がんの初期症状と進行した場合の症状

精巣がんの初期には、しこりや腫れ以外には症状がみられないことも少なくありません。

代表的な症状には、次のようなものがあります。

  • ・精巣のしこり、腫れ、硬さの変化
  • ・陰嚢が重く感じる
  • ・下腹部や足の付け根の鈍い痛みや違和感
  • ・乳房のふくらみや張り

一部の精巣がんでは、hCGというホルモンの影響によって、乳房のふくらみや張りがみられることがあります。

胸の変化と精巣の病気は結びつきにくいため、見過ごされることもある症状です。

精巣がんが進行すると、お腹の奥にあるリンパ節(後腹膜リンパ節)や肺などに転移することがあります。

その場合、腰や背中の痛み、せき、息苦しさなどの症状が現れることがあります。

こうした症状が出てから見つかる場合もあるため、精巣の変化に気づいた段階で受診することが重要です。

精巣がん以外で精巣・陰嚢にしこりができる病気

陰嚢の中にしこりや腫れを感じても、すべてが精巣がんというわけではありません。

精巣の周りには精巣上体(副睾丸)や精索などの組織があり、それらの病気によってしこりや腫れが生じることもあります。

病気主な特徴
精巣がん精巣そのものが硬くなる、痛みのないしこりが多い
精巣上体のう胞・精液瘤精巣の上側などに、丸くやわらかいしこりができることがある
陰嚢水腫精巣の周りに液体がたまり、陰嚢全体が腫れる。痛みは少ないことが多い
精索静脈瘤主に左側の陰嚢に、ミミズのようなでこぼこした腫れを感じることがある
精巣上体炎精巣上体が腫れ、痛みや発熱を伴うことが多い
鼠径ヘルニア足の付け根から陰嚢にかけてふくらみ、横になると小さくなることがある

また、精巣の後ろ側には精巣上体があり、正常な状態でも、ひものようなやわらかい構造として触れることがあります。

これをしこりと勘違いして心配されることもありますが、自分で見分けるのは難しい場合があります。

これらの病気は症状だけでは区別できないこともあるため、しこりの正体を確かめるには、泌尿器科で診察や超音波検査を受けることが大切です。

精巣の変化に気づくために確認しておきたいこと

精巣がんには、一般的ながん検診として確立された検査はありません。

精巣がんは、精巣のしこりや大きさ・硬さの変化に気づいたことをきっかけに見つかることがあります。

普段から左右の大きさや硬さなどを知っておくと、変化に気づきやすくなります。

確認するときは、次のような変化がないか意識しましょう。

  • ・以前にはなかった硬い部分やしこりがある
  • ・片側の精巣が以前より大きくなっている
  • ・硬さに変化がある
  • ・陰嚢が重く感じる
  • ・左右差が以前より大きくなっている

精巣がんのリスクが高いといわれる人

精巣がんの原因ははっきりとは分かっていませんが、次のような方は発症のリスクが高いとされています。

  • ・停留精巣の既往がある
  • ・父親や兄弟など、血縁の近い家族に精巣がんになった人がいる
  • ・過去に反対側の精巣がんにかかったことがある
  • ・男性不妊症と診断されたことがある

精巣は胎児の時期にお腹の中でつくられ、生まれるまでの間に陰嚢へ下りてきます。

停留精巣は、精巣が陰嚢内まで下りきらずにとどまっている状態です。手術で治療した場合でも、精巣がんのリスクが高いことが知られています。

これらに当てはまる方で、精巣のしこりや大きさ・硬さの変化に気づいた場合は、早めに泌尿器科へ相談しましょう。

泌尿器科で行う精巣がんの検査と治療

主な検査

精巣のしこりで泌尿器科を受診すると、まず問診や診察を行い、しこりの位置や硬さ、痛みの有無などを調べます。

そのうえで、次のような検査が行われます。

  • ・超音波(エコー)検査:しこりが精巣の内部にあるのか、外側にあるのかを調べる
  • ・血液検査:AFP、hCG、LDHなどの腫瘍マーカーを測定し、診断の補助や病状の把握、治療方針の検討に役立てる
  • ・CT検査などの画像検査:転移の有無や広がりを調べる

超音波検査は体への負担が少なく、外来で行うことができる検査です。泌尿器科のクリニックでも受けられることがあります。

精巣がんが疑われる場合、一般的に精巣へ針を刺して組織を採取する経皮的な生検は行いません。通常は高位精巣摘除術を行い、摘出した組織を病理検査して診断を確定します。

治療の流れ

精巣がんが強く疑われる場合は、まず「高位精巣摘除術」という手術で、腫瘍のある側の精巣を摘出します。

摘出した腫瘍の種類や進行度に応じて、経過観察や抗がん剤治療(化学療法)などが行われます。

セミノーマの一部では、放射線治療が選択肢になることもあります。

非セミノーマでは、化学療法後に後腹膜リンパ節などに腫瘤が残った場合、その大きさや腫瘍マーカーの値などに応じて、後腹膜リンパ節郭清などの手術が検討されることがあります。

精巣がんは、進行していても、化学療法などによって治癒を目指せる場合があります。

一方で、進行の程度によって治療内容や体への負担は異なるため、できるだけ早く発見し、適切な治療につなげることが重要です。

治療と将来子どもをもつことについて

精巣は片側を摘出しても、反対側の精巣が正常に働いていれば、男性ホルモンの分泌や精子をつくる機能が保たれることが多いとされています。

一方で、精巣がんそのものや、抗がん剤治療などの影響によって、精子をつくる機能が低下することがあります。

精巣がんは若い世代にもみられる病気であるため、将来子どもをもつことを希望する場合には、治療前に精子を凍結保存しておく方法が検討されることもあります。

今後の家族計画について希望がある場合は、治療を始める前に担当医へ伝えておくことが大切です。

精巣のしこりに気づいたら、早めに泌尿器科へ

精巣がんのしこりの大きさには決まった基準がなく、小さなしこりでも、痛みがなくても、がんの可能性を否定することはできません。

しこりの大きさだけで良性か悪性かを判断することは難しいため、精巣の中にしこりや硬さの変化を感じたときは、早めに泌尿器科を受診することが大切です。

精巣の悩みは人に相談しにくく、恥ずかしさから受診をためらう方も少なくありません。しかし、精巣がんは早期に発見し、適切な治療につなげることが重要です。

また、精巣や陰嚢のしこりには、がん以外の病気によるものもあります。原因を確認するためにも、気になる変化があれば泌尿器科を受診しましょう。

窪田医院では、精巣のしこりや腫れなど、泌尿器科の症状についてご相談いただけます。診察や超音波検査などで状態を調べ、専門的な検査や治療が必要と判断した場合は、適切な医療機関へご紹介しています。

当院は、小田急小田原線「本厚木駅」からバスでアクセスできます。無料駐車場もご用意していますので、お車でお越しの方にも通院しやすい環境です。

厚木市で精巣のしこりや陰嚢の腫れについて受診先をお探しの方は、ご相談ください。

監修:内科・泌尿器科 窪田医院

院長 平野 裕資(日本メンズヘルス医学会 テストステロン治療認定医)